電気屋

 

店員:「いらっしゃいませ。何かお探しでしょうか?」

お客:「このパソコンください。」

店員:「・・・お客様。それは電子レンジでございます。
    パソコンでしたら、二階の方にございます。」

お客:「へえ、二階で売ってるのかあ。ところでここは何階?」

店員:(戸惑いながら)「・・・一階ですが・・・」

お客:「そうか。入口のすぐ傍だもんな。ここ。」

店員:「・・・・・・」(汗をかく)

お客:「二階へはどうやって行くの?」

店員:「エレベーターがございます。ご案内致しましょう。」

お客:「へええ、エレベーターがあるのか。一般家庭とは違うな。」

店員:(突っ込みたいが突っ込めず愛想笑いのまま、お客をエレベーターまで案内する)

   (二人はエレベーターの前に立ち、店員がエレベーター横のボタンを押す)

店員:「少々お待ち下さいませ。」

お客:「随分反応が鈍いドアだね。すぐに開かないんだ。」

店員:「・・・いえ、まだエレベーターが一階に下りてきてないのです・・・」

お客:「随分頑丈なドアだな。これに挟まれて何人もの人が潰されてきてるんだな。」

店員:「い、いいえ。決して挟まれても潰されることはございません!」

お客:「このエレベーター、いくらですか?」

店員:「あのう・・・これは売り物ではございません・・・」

お客:「何とタダですか!」

店員:「・・・あ、確かに入場料はタダで・・・」

   (チン♪とエレベーターのドアが開く)

お客:「随分と狭い部屋ですね。」

店員:「狭いですが部屋ではないのです・・・」

お客:「月の家賃はいくらですか?」

店員:「住居じゃございません・・・」

お客:「そうですよね。どおりで家具がないと思った。」

店員:「ははは・・・」

   (店員はイライラしながら閉まりそうなドアを押えつつ、お客中に入れる)

お客:「狭い密室の空間で二人きりですね。何か緊張しますね。」

   (ぷ~~~うっとお客はおならをする)

店員:「・・・・・・」

   (「どこに緊張感があるんだ」と思いつつ店員は苦い顔で鼻をつまむ)

   (チン♪と鳴り二階に着きドアが開く)

お客:「おお!いつの間に模様替えを!さっきと置いてある品が違うじゃないか!」

店員:「いえ、二階に着きましたので、どうぞ。」

お客:「ああ、そうか・・・二階が一階に下りて来たんだな。マジックかと思った。」

店員:「ははは・・・」

   (「そっちの方がマジックより凄いだろ」と思いつつ店員はフロアを案内)

お客:「おお!こんなところに糸を引いた饅頭が!」

店員:「お客様。それはマウスでございます。パソコンを操作する道具でございます・・・」

お客:「そうかあ。てっきり盗み食い防止の糸かと思った。」

店員:「さすがに電気屋で和菓子は・・・」

お客:「おお!こんなところに四角い洋式便器が!」

店員:「お客様。それはスキャナでございます。絵や写真などを読み取る・・・」

お客:「え?この横長の洋式便器は?」

店員:「それはノートパソコンで・・・」

   (「蓋が開けば何でも便器かよ」という突っ込みを我慢する店員)

お客:「どおりで私の尻のサイズに合わないと思った。」

店員:「・・・お客様が欲しいものは、ノートですか?デスクトップですか?」

お客:「デスマスクストップ・・・?」

店員:「あ、こちらがデスクトップパソコンです・・・」

お客:「おお!これこれ。欲しかったのは。」

店員:「ああ、そうでございますか。どのような使い道をなさる御予定ですか?」

お客:「うん、冷えたご飯を暖める。」

店員:「え・・・?」


    おわり

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2012/08/26

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「迷いの森」

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「Angel」

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「Faraway」

「White Room」

 

 

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