窓から見る雪景色

 

 

しんしんと降る雪の音が聞こえる。
私は窓から雪景色を見たくなった。


窓の前に立つ。

雪景色が見えない。

私には雪景色も見えないほど盲目になってしまったのか。
純白の雪を見えなくなるほど心は黒く汚れてしまったのか。



カーテンを開けていなかった・・・

カーテンをレールから引きちぎった。

そこまですることはないだろうが、
私の心を開くにはそれくらいの荒療治が必要だ。



窓が開かない。

開くわけがない。



自動ドアではない。
自動窓でもない。
窓の前に立っているだけで開くわけがない。
手動窓だ。

仕方ないので手で開けることにする。



窓枠から窓を外す。
外した窓を何処に置こうか迷う。

置く場所がない。
外したことに後悔する。

その前に何故わざわざ窓を窓枠から外したのだろうか。

横にスライドさせれば開くのに。

レールの摩擦が嫌なのだ。
擦り減って窓が小さくなっていく恐怖を感じるのだ。

外した窓を玄関から外へと放り出す。



窓のところに戻ると、ゴツン!という音が聞こえた。
小鳥が外側のサッシにぶつかってきたのだ。

「ははは、馬鹿だなあ。透明で見えなかったのか」
仕方がない。小鳥にはガラスという存在を知らない。
学習していない。家の中で暮らしているわけではない。
脳の大きさも人間と比べたら小さいものだ。
我々はガラスという存在を知っている。
だからぶつかるなんてことはあり得ないのだ。
そんな人間がいたら大馬鹿者である。

それでは早速窓から身を乗り出して雪景色を堪能しよう。



また、ゴツン!と音が鳴った。

「痛い!」

まだ外側のサッシを開けていなかった。
おでこにたんこぶが出来た。
サッシが割れなくてよかった。
私の頭がダイヤのように硬くなかったことを幸運に思う。

手でスライドして開けようとしたが、
うんともすんとも言わない。

ロックを解除してないことに気付いたのは、
今回は意外に早かった。

サッシを全開にし、手を差し伸べる。

手のひらにひんやり冷たい雪が・・・

体温で解けて行く結晶。

儚い白さ・・・


もっと受けとめよう


この純白の宝石を


もっともっと


身を乗り出して
もっと向こうの雪も


もっと向こう


向こう


向こう



「ぎゃーーーーー!」



ズボッ!




身を乗り出し過ぎて窓から転落してしまった。

二階から落ちたが下に雪が積もっていたのが幸いだった。
真っ逆さまに埋まり、私は逆立ち直立不動。
空を足で蹴り、地球を持ち上げている。



だが私は足の裏で純白の宝石の温度を感じている。
裸足でよかった。



近所の人たちが一斉に窓を開けた。



私は窓から見る雪景色と一体化したのだ。



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2012/08/26

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「迷いの森」

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「Angel」

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